「ここだけ弾けてほしい」を実現する
第6回では楽器ごとのコントロール方法を学びました。第7回では一歩踏み込んで、フレーズ単位の制御を扱います。
楽器コントロールが「曲全体のサウンドを調整する」技術なら、フレーズタグは「この瞬間だけ特定の楽器が暴れる」という設計です。ギターソロ、ピアノブレイク、EDM的なドロップ——これらを任意の位置に差し込む方法を解説します。
フレーズタグと構造タグの違い
第3回でセクションタグの一覧を紹介しました。ここで改めて2種類の違いを整理しておきます。
| 種類 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| 構造タグ | 曲の大枠(セクション)を決める | [verse] [chorus] [bridge] |
| フレーズタグ | 特定の瞬間の表情を作る | [guitar solo] [build up] [drop] |
フレーズタグは構造タグと組み合わせて使います。「[chorus] の後に [guitar solo]」というように、構造の中に挟み込む形です。
フレーズタグ一覧
ソロ・インストブレイク
| タグ | 効果 |
|---|---|
[guitar solo] |
ギターソロを挿入。ロック・ブルース系で特に効果的 |
[piano solo] |
ピアノソロを挿入。クラシカル・ジャズ系に合う |
[drum solo] |
ドラムソロを挿入 |
[bass solo] |
ベースソロを挿入 |
[instrumental break] |
楽器全体の間奏。特定楽器を指定しない場合 |
[sax solo] |
サックスソロ。ジャズ・フュージョン系 |
ダイナミクスを作るタグ
| タグ | 効果 |
|---|---|
[build up] |
テンションを高めるビルドアップ。サビ前やドロップ前に |
[drop] |
EDM的なドロップ。ビルドアップの後に続けると効果的 |
[breakdown] |
曲の緊張を解いてシンプルにする |
[drum fill] |
セクション間をつなぐドラムフィル |
[big finish] |
曲を力強く締めるフィニッシュ |
特殊効果タグ
| タグ | 効果 |
|---|---|
[spoken word] |
歌ではなくセリフ・ナレーション |
[whisper] |
ウィスパーボーカル |
[ad lib] |
アドリブ的なボーカルフレーズ |
[hook] |
短くキャッチーなフックフレーズ |
フレーズタグを配置する基本ルール
タグは単独行に置く
構造タグと同様、フレーズタグも必ず単独の行に書きます。
❌ 悪い例:
[chorus] [guitar solo]
✅ 良い例:
[chorus]
(サビの歌詞)
[guitar solo]
[chorus]
(ラストサビ)
ソロの後は構造タグで受ける
フレーズタグだけで終わらせず、その後の展開を構造タグで示します。
[guitar solo]
[chorus] ← ソロが終わったらサビへ
実践:フレーズタグを使ったプロンプト例
1. ロックバラード(ギターソロ入り)
Style欄:
rock ballad, electric guitar, piano, emotional, slow build
Lyrics欄:
[intro]
[verse]
雨の夜に思い出す
あの日交わした言葉を
[chorus]
それでも前を向いて歩く
この痛みも全部連れて
[verse]
変わり続ける景色の中
変わらないものを探して
[chorus]
それでも前を向いて歩く
この痛みも全部連れて
[guitar solo]
[chorus]
それでも前を向いて歩く
この痛みも全部連れて
[outro]
ギターソロをサビ2回目とラストサビの間に挟むことで、「泣かせてから最後に立ち上がる」という展開が生まれます。
2. EDMトラック(ビルドアップ+ドロップ)
Style欄:
EDM, progressive house, synth, energetic, dance
Lyrics欄:
[intro]
[verse]
(歌詞またはAI任せ)
[build up]
[drop]
[verse]
[build up]
[drop]
[outro]
[build up] → [drop] の連続は、EDMの定番展開です。エネルギーが高まってからドロップで爆発する流れをSunoが理解して生成します。
3. ジャズトリオ(ピアノソロ入り)
Style欄:
jazz trio, piano, upright bass, brush drums, swing feel, intimate
Lyrics欄:
[intro]
[verse]
(テーマ)
[piano solo]
[verse]
(テーマ再現)
[outro]
ジャズでは [piano solo] を中間に入れることで、テーマ→即興→テーマ再現という本格的なジャズ構成が再現できます。
楽器コントロール(第6回)との組み合わせ
フレーズタグは、Style欄の楽器指定と組み合わせると効果が高まります。
例:ギターが主役の曲にソロを入れる
Style欄:
indie rock, guitar-driven, prominent electric guitar, drums, bass
Lyrics欄(抜粋):
[chorus]
(サビ歌詞)
[guitar solo] ← Style欄でギターを前面に出しているのでソロが際立つ
[chorus]
(ラストサビ)
Style欄でギターを主役にしておくことで、[guitar solo] タグがより鮮明に機能します。
よくある問題と対処法
フレーズタグが機能しない
Sunoは毎回タグを100%再現するわけではありません。特にマイナーな楽器のソロタグ([violin solo] など)は精度が低いことがあります。
対処法: Style欄でその楽器を prominent にした上でタグを使う。
classical, prominent violin, string quartet → Lyrics欄に [violin solo]
ビルドアップが短すぎる / 長すぎる
[build up] の長さはSunoの裁量です。調整したい場合は Extend 機能で延長するか、ビルドアップ部分に歌詞を追加して長さをコントロールします。
[build up]
(ここにコーラス的な短いフレーズを入れると長くなりやすい)
[drop]
次回予告
第8回ではChapter 4「ジャンル別レシピ」に入ります。J-Pop・ロック・EDM・ジャズなどジャンルごとの最適なプロンプト構成を、実践的なレシピ形式でまとめます。
→ 第8回:ジャンル別プロンプトレシピ — ロック・ジャズ・ローファイ・80sシンセ編
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