Sunoと長く付き合うために

第1回から第11回まで、Sunoの機能を全方位から学んできました。最終回の今回は少し立ち止まって、Sunoの「できないこと」を正直に整理します。

ツールの限界を知ることは、そのツールをより上手に使うことと同じです。


限界1:音程・コード進行を細かく指定できない

現状の制約

Sunoは「雰囲気」や「ジャンル」に基づいて楽曲を生成しますが、具体的なコード進行や音階(スケール)を直接指定する手段はありません

❌ できないこと:

  • 「Cmaj7 → Am7 → Dm7 → G7」というコード進行を指定する
  • 「Dマイナースケールで作って」と指定する
  • 「サビの最後の音をFにして」という音程指定

対策

キーワードで傾向を誘導する:

minor key, melancholic, dark       → 短調の曲が出やすくなる
major key, uplifting, bright       → 長調の曲が出やすくなる
jazz harmony, complex chords       → ジャズ的なコードが出やすくなる

気に入ったコード進行の曲を再生成で探す:

Sunoの生成はランダム性があります。同じプロンプトでも異なるコード進行が生成されます。10〜20回生成して気に入ったものを選ぶのが現実的なアプローチです。

最終的な音程の調整はDAWで行う:

Sunoで大枠を作り、第9回第10回で学んだDAW連携で細部を修正します。


限界2:歌詞崩れ・発音の不安定さ

現状の制約

Sunoは英語ネイティブのモデルです。日本語歌詞は特に不安定で、以下の問題が起きやすい:

  • 歌詞の一部が読み飛ばされる
  • 歌詞と違う音を歌う
  • 途中から英語に切り替わる
  • 発音が崩れて不明瞭になる

対策

歌詞を短く・シンプルに保つ:

❌ 深夜零時の路地裏彷徨い続けた哀愁のメロディー
✅ 深夜の路地裏
  哀愁だけが残る

ひらがな・英語を混ぜる:

My heart 止まらない
君のことが ignite

複数回生成して安定した発音のバージョンを選ぶ:

歌詞崩れが激しい場合、同じLyricsで5〜10回再生成すると安定したバージョンが出てくることがあります。

重要な箇所は英語で書く:

サビの核心となるフレーズは英語で書くと安定しやすいです。


限界3:著作権・法的リスク

現状の状況

AI生成音楽の著作権は、世界的にも法整備が追いついていない領域です。

日本の現状(2026年時点):

  • AIが自律的に生成した著作物には著作権が発生しない(文化庁見解)
  • ただし、人間が創造的関与をした場合は著作権が認められる可能性がある
  • Sunoの学習データと既存楽曲の類似性についての訴訟リスクは未解消

Suno社の立場:

  • 商用利用にはProプラン以上が必要
  • Suno利用規約で生成楽曲の利用許諾が与えられる
  • ただし、第三者の著作権侵害が疑われる場合のリスクはユーザー側が負う

対策

商用利用はProプラン以上で行う:

利用規約の商用利用条件を必ず確認してから収益化・配信を行います。

類似楽曲との比較を行う:

生成された楽曲が既存の著作権保護楽曲に似ていないか、Shazamなどのツールで確認することを習慣にする。

法的リスクの高い用途には使わない:

大手ブランドの広告・大規模な商業プロジェクトへの使用は、法整備が進むまでリスクがあります。個人の表現活動・小規模な用途に留めるのが現実的です。


限界4:ステム分離の精度

現状の制約

Sunoのステム分離はボーカルとインストの2種類のみで、楽器個別のトラックには分離できません。

また、AIによる音源分離は完璧ではなく、分離後のオーディオにアーティファクト(歪み・残響)が残ることがあります。

対策

分離後の音質に期待しすぎない:

ステム分離は「ボーカルを完全除去して完璧なカラオケを作る」ためのものではなく、「自分のボーカルを重ねる際のバランス調整」として使うのが現実的です。


Sunoが本当に得意なこと

限界を見てきましたが、Sunoが抜群に得意なことも整理しておきます。

得意なこと 説明
アイデア出し 10分で10種類のジャンル・スタイルを試せる
デモ制作 曲のアイデアを素早く音にして検証できる
BGM量産 ローファイ・アンビエントBGMを大量に作れる
ジャンル探索 聴いたことがないジャンルの楽曲を体験できる
日本語歌詞(簡単なもの) シンプルな歌詞なら日本語でも歌わせられる

このシリーズを終えて

12回を通じて、Sunoの基本から応用まで一通り学びました。

第1〜2回  音が出た、楽しい
第3〜5回  意図した構造で作れるようになった
第6〜8回  サウンドの細部をコントロールできる
第9〜11回 リアルな制作・発表につながった
第12回   Sunoと長く付き合うための視点を持てた

Sunoは完璧なツールではありません。しかし「音楽を作りたい」という衝動を、技術的な障壁なしに形にできるツールです。

限界を知りながらも、創造の道具として使い続けること——それが、Sunoと長く付き合う最善の方法だと考えます。


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